コラム

 公開日: 2016-09-30 

事業承継税制の問題点は要件が厳しすぎること

2016年4月に中小企業庁調査室が発表した「2016年版中小企業白書概要」によると、2014年末時点での日本の中小企業の数は381万社となっています。

2009年の同調査では420万社となっているため、5年間で39万社も減っているということになります(中小企業白書によると、この間の倒産、休廃業は約23万件)。

中小企業の事業継承が困難な理由として、継承時の相続税、贈与税といった税負担の重さが挙げられます。

そこで国は、中小企業の事業継承において、相続税や贈与税などの負担を少しでも減らすため、要件を満たせば事業継承にかかる税が猶予される「事業承継税制」を2008年10月に開始しました。

しかし、この制度が始まってから8年、実際に事業承継税制を利用した中小企業はそれほど多くはありません。

事業継承にかかる税負担を、大幅に軽減するはずの事業承継税制を多くの中小企業が利用しないのはなぜなのでしょう?

今回は事業承継税制の問題点についてご紹介します。

事業承継税制とは

日本経済の根幹を担う中小企業。

中小企業が税負担の重さからスムーズに事業継承を行うことができず、廃業してしまうということは、国としても大きな損失となります。

そこで税の負担を減らし、事業継承を少しでもやりやすくするために生まれたのが「事業承継税制」です。

会社としての要件、経営者、後継者としての要件、そして申告期限後5年間で雇用の8割以上を平均で維持していること、資産管理会社に該当しないことなどの要件を満たすことで納税を猶予、場合によっては免除されることもあります。

企業が積極的に事業承継税制を活用できない理由

この制度を実際に利用した中小企業は、2009年から2014年までで平均170社となっています。

すべての中小企業がこの5年間で事業継承をしたわけではないので、実際の利用率はわかりません。しかし、それでもこの年・平均170件という数字は低いと言わざるをえません。

事業継承においてこれだけ大きなメリットがあるにも関わらず、それほど多くの中小企業がこの制度を利用しない最大の理由は、税を猶予されるための要件が厳しすぎる点にあります。

特に申告期限後5年間で雇用の8割以上の維持、後継者は親族のみといった要件によって「経営が厳しい」「親族に後継者がいない」といった中小企業は、この制度を利用いしたくても利用できないというのが現状となっています。

早めに事業承継対策を講じることが大事

この現状を重く見た国は、2013年度税制改正で大幅な改善を図り、2015年1月から新制度に移行しました。

新制度では、それまでは申告期限後5年間で毎年雇用の8割以上の維持だったのが平均5年間に変更。また親族以外の後継者も認め、先代経営者は役員として残れるようになりました。

これにより、2016年2月時点の中小企業庁の発表によると、2015年の事業承継税制を利用した会社は350社(推計)と、それまでの平均のほぼ倍の数字となっています。

ただし、それでもまだ多くの経営が厳しい中小企業にとっては、この制度の利用のハードルは低いとは言いきれません。

そういった意味では、制度のさらなる緩和も必要ではありますが、それ以上に企業側も早め早めに事業承継対策を講じ、継承の時だけでなく、その先最低5年の経営計画をしっかり立て、雇用の維持が叶えられるようにしていくことが、重要だといえます。

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